「経営戦略やマーケティングを学びたいけれど、理論だけの教科書では実務に結びつかない…」

「MBAに興味はあるけれど、実際の授業がどんなものか分からない…」
ビジネスの現場で活躍したいと考えている方なら、一度はこうした悩みを抱いたことがあるのではないでしょうか。
今回ご紹介する『名古屋商科大学ビジネススクール ケースメソッドMBA実況中継 01 経営戦略とマーケティング』は、世界MBAランキングで国内1位を獲得した名門ビジネススクールの授業を、そのまま紙上で体験できる画期的な一冊です。
理論の解説だけでなく、実際の企業事例を題材にしたディスカッション形式で学べるため、実務で使える思考力が自然と身につきます。本記事では、本書の魅力と活用法を詳しく解説していきます。
本書の概要と著者について
本書は2020年3月にディスカヴァー・トゥエンティワンから刊行されました。著者は名古屋商科大学ビジネススクール教授の牧田幸裕氏です。
著者プロフィール
牧田幸裕教授は、京都大学大学院を卒業後、外資系コンサルティング会社アクセンチュアで豊富な実務経験を積まれた、理論と実践の両面に精通した専門家です。MBA教育において「経営戦略とマーケティング」を担当し、多くのビジネスパーソンの育成に携わっています。
名古屋商科大学ビジネススクールの特徴
名古屋商科大学ビジネススクールは、ファイナンシャル・タイムズやQS社などの世界MBAランキングで国内1位にランクインしている国内屈指のビジネススクールです。
最大の特徴は、すべての授業で「ケースメソッド」という教育手法を採用している点。これは、ハーバード・ビジネス・スクールで開発された実践的な学習法で、実際の企業が直面した経営課題をもとに、受講生同士がディスカッションを通じて意思決定力を磨いていくものです。
本書は、そんな名門スクールの授業を、一般のビジネスパーソンでも体験できるように構成されています。
本書の要点まとめ:5つのポイント
本書で学べる主要なポイントを、5つに絞ってご紹介します。
①ケースメソッドで学ぶ実践的思考法
実在する企業の経営課題を題材に、自分が経営者だったらどう判断するかを考える訓練ができます。座学では得られない、実践的な意思決定力が養われます。
②経営戦略の基本理論を体系的に理解
全社戦略、事業戦略といった経営戦略の基礎から、競争優位の築き方まで、体系的に学ぶことができます。理論の解説がコンパクトにまとまっているため、初心者でも理解しやすい構成です。
③マーケティング戦略との統合
経営戦略とマーケティング戦略は別々のものではなく、統合して考える必要があります。本書では、両者をどう整合させ、融合させるかという実務的な視点を学べます。
④実際のディスカッション授業を再現
MBAの授業で行われているディスカッションの様子が「実況中継」形式で紙面に再現されています。受講生の発言、教授のファシリテーション、議論の展開を追体験できるため、臨場感を持って学べます。
⑤MBA入門者から経営者まで対応
これからMBAを学ぼうとする入門者から、すでに経営に携わっている経営者や起業家まで、幅広い層の実践ニーズに応える内容になっています。
詳細解説:各ポイントをより深く理解する
ここからは、本書の核となる内容をより詳しく見ていきましょう。
ケースメソッドとは何か?
ケースメソッドは、一方向的な講義形式とは全く異なる学習法です。実際に起きた企業の経営課題を描いた「ケース」と呼ばれる事例を読み、「自分が経営者だったらどうするか」を考え、他の受講生と議論します。
この学習法の最大の利点は、知識を「知っている」レベルから「使える」レベルに引き上げられること。理論を暗記するのではなく、実際のビジネスシーンで応用する力が身につきます。
本書では、このケースメソッドの授業の様子が詳細に再現されており、受講生たちがどのように思考し、議論を深めていくかを追体験できます。
経営戦略の基本フレームワーク
本書では、経営戦略の基本となる重要なフレームワークが丁寧に解説されています。
たとえば、「全社戦略」と「事業戦略」の違い。全社戦略は企業全体としてどの事業領域で戦うかを決める意思決定であり、事業戦略は特定の事業でどう競争優位を築くかを考えるものです。
また、マイケル・ポーターの「競争戦略」など、ビジネススクールで必ず学ぶ基礎理論も、実際のケースと結びつけて解説されるため、単なる知識の羅列にならず、実務での活用イメージが湧きやすくなっています。
マーケティング戦略との融合
多くの企業で、経営戦略部門とマーケティング部門が別々に動いてしまい、戦略の整合性が取れないという問題が起こります。
本書の大きなテーマの一つが、「事業戦略とマーケティングをどう整合、融合させるか」という点です。経営戦略で描いた方向性を、具体的なマーケティング施策にどう落とし込むか、その実践的な考え方を学べます。
実際のケースを通じて、戦略とマーケティングを統合的に考える訓練ができるのは、本書ならではの強みです。
実況中継形式で学ぶ臨場感
本書の最大の特徴は、授業を「実況中継」形式で再現している点です。
教授の問いかけ、受講生Aの発言、それに対する受講生Bの反論、さらに別の視点を提示する受講生C…というように、ディスカッションの流れが細かく記されています。
これにより、単に正解を提示されるのではなく、多様な視点があること、一つの問題に対して複数のアプローチがあることを理解できます。実際のビジネスでも正解は一つではありません。本書は、そうした多角的な思考を養うのに最適な構成になっています。
この本を読むことで得られるメリットと変化
本書を読むことで、以下のような具体的なメリットが得られます。
実務で使える戦略思考が身につく
理論だけでなく、実際のケースを通じて学ぶため、明日からの業務で使える思考法が身につきます。上司への提案、新規事業の企画、マーケティング施策の立案など、さまざまな場面で応用できる力が養われます。
MBA留学前の予習として最適
これからMBAに挑戦しようと考えている方にとって、実際の授業がどのように進むのかを事前に知ることができます。ケースメソッドの授業スタイルに慣れておくことで、実際の留学時にスムーズに学習に入れるでしょう。
多角的な視点で物事を見る習慣がつく
ディスカッション形式の学びを通じて、一つの問題に対して複数の視点から考える習慣が身につきます。この思考法は、ビジネスだけでなく、日常生活の意思決定にも役立ちます。
経営者視点が養われる
ケースでは常に「自分が経営者だったら」という視点で考えます。これにより、担当業務だけでなく、会社全体を俯瞰して見る力が養われ、キャリアアップにもつながります。
この本が向いている人・向いていない人
こんな人におすすめ
- MBA取得を検討している方:実際の授業がどんなものか知りたい方に最適
- 経営戦略やマーケティングの基礎を学びたい方:体系的な知識を実践的に学べます
- 管理職・リーダー層の方:経営者視点での意思決定力を高められます
- 新規事業や企画を担当している方:戦略的思考が実務に直結します
- コンサルタント志望の方:クライアントの経営課題を考える訓練になります
向いていないかもしれない方
- すぐに使える具体的なテクニックを求める方:本書は思考法を学ぶものであり、即効性のあるノウハウ本ではありません
- 理論の網羅的な解説を求める方:基本は押さえていますが、理論の詳細は専門書に譲っている部分もあります
- 読書に時間を取れない方:ケースをじっくり考えながら読む必要があるため、ある程度の時間が必要です
他の人気ビジネス書との比較
本書の位置づけをより明確にするため、同じ分野の人気書籍と比較してみましょう。
『ドリルを売るには穴を売れ』(佐藤義典著)との比較
こちらはマーケティング入門の定番書です。ストーリー形式で読みやすく、マーケティングの基本を学ぶには最適ですが、経営戦略との統合という視点は弱めです。
本書は、マーケティングと経営戦略を融合させて考える点が強みであり、より経営層に近い視点で学べます。両書を併読すると、マーケティングの基礎から戦略的応用までカバーできるでしょう。
『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方』(森岡毅著)との比較
USJ再建の実話を通じてマーケティング戦略を学べる人気書です。実例ベースで読みやすく、マーケティングの実践的な考え方が身につきます。
一方、本書は複数のケースを扱い、ディスカッション形式で多角的に学べる点が特徴です。森岡氏の著書で実例の面白さに触れた後、本書で体系的な思考法を鍛えるという使い方がおすすめです。
『イシューからはじめよ』(安宅和人著)との比較
こちらは問題解決の思考法を学ぶ名著です。「何を解くべきか」という本質的な問いの設定を重視しています。
本書も、ケースメソッドを通じて「本質的な課題は何か」を見極める訓練ができます。『イシューからはじめよ』で問題設定の思考法を学び、本書で経営戦略・マーケティングの文脈での応用を学ぶと、より実践的な力がつくでしょう。
まとめ:今日からできるアクション
本書『名古屋商科大学ビジネススクール ケースメソッドMBA実況中継 01 経営戦略とマーケティング』は、理論と実践を結びつけ、実務で使える戦略思考を養うための最適な一冊です。
世界MBAランキング国内1位の名門スクールの授業を体験できる貴重な機会であり、MBA入門者から経営者まで、幅広い層に価値を提供してくれます。
本書を読んだら、まずこれをやってみましょう
1. 自社の経営課題を「ケース」として考える
本書で学んだケースメソッドの思考法を、自分の会社や部署に当てはめてみましょう。「自分が経営者だったらどうするか」という視点で考えることで、新しい気づきが得られます。
2. 同僚とディスカッションしてみる
本書のケースをもとに、同僚や友人とディスカッションしてみてください。多様な視点に触れることで、さらに学びが深まります。
3. 学んだフレームワークを実務で使ってみる
次の企画書や提案資料を作成する際、本書で学んだ経営戦略やマーケティングのフレームワークを意識的に使ってみましょう。実践することで、本当の意味で「使える知識」になります。
経営戦略とマーケティングの本質を、実践的に学びたい方に、本書は間違いなくおすすめできます。ぜひ手に取って、MBA式の思考法を体験してみてください。


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